ぶらりパスネットの旅 房総ドリーム篇(3/3)

(↑上の日付は旅行日を示しています)
2001/2/14 初版作成

【旅2日目その7:わずか14分で帰郷(感)】

新鎌ヶ谷駅

新京成・北総 新鎌ヶ谷駅。周辺ののどかな田園風景には先日降った雪も残る。

東武野田線 新鎌ヶ谷駅に到着。地元の方と思われる乗客は「ここどこ?しんかま?」と、笹かまぼこを笹かまと略すような呼び方をしていた。東武の駅と新京成・北総の駅は少し離れているようなのでそちらに向かう。‥しかし、ほんのついさっきまで繁華街で人ごみにもまれていたのが嘘のような、静か〜なところである。ザッと見渡しても駅周辺には田んぼや畑しか見当たらない。そして先日関東地方に降った雪が結構残っている。そういや船橋駅でも、タクシー乗り場の隅っこの方に若干雪が残っていたが、もう片づけようと思えば片づけられる量だった。そんな山奥に来たのかなぁ‥でも乗車時間はわずか14分だ。そもそもここ新鎌ヶ谷は東武・新京成・北総の三線もが交わる駅だ。だのにまるで発展する気配を見せない駅前周辺。もしかしたら駅から少し離れたところが賑やかなのか。

駅前が賑やかかどうかは今回の旅ではあまり関係ないように見える。実際私も、どの駅前でも遊んだりするつもりはそんなになかったので、静かなら静かで別によかった。だが、賑やかかどうかは実のところパスネット購入に大いに関係するようだ。賑やかでないからそうなんだ、とは言い切れないが、少なくとも新鎌ヶ谷駅にパスネットは売っていなかった。新京成と北総の改札はくっついていて、券売機を見てもどちらが運営しているかちよっと判別できなかったが、どちらのカードも販売していない様子だった。で、改札外には売店がないのでとりあえずどちらかに入らなければならない。ここで新京成・北総の両方のカードを買い、あとは北総に乗って新宿に向かうつもりであったが、そうすると新京成から離れてしまうのでとりあえず新京成のホームへ向かうことに。


新鎌ヶ谷駅改札部

で、改札を入る時にとまどってしまった。自動改札機やその周辺にはしつこい位に「新京成?北総?間違えていませんか?」といった注意書きがしてあるのだ。そんな、どっちもパスネット対応なんだからどっちから入ってもいいじゃん。人を信用しとらんのかね‥などと立腹にまで達しそうになったが、よく見たらその理由は氷解。一見すると一本の道のように見える通路は、改札から先が新京成と北総で仕切られていて(左図の赤い部分。高さ1mくらいの仕切りなので外から見ると見えづらい)、間違えて入ると奥の連絡口(ここも自動改札)を通過しないと行けないのである。おそらくそこで間違えた方の初乗り料金が返金できないとか何かなのだろう。西船橋のようにどの線でもスルスルと乗り換えられる駅もあれば、ここのようにガッチリ仕切っている駅もあり。同じ千葉でもいろいろだ。


という訳で新京成の改札(向かって左)であることを再三確認した上でゲートイン。反対側の北総側通路には北総の売店が見えたがどうやら営業していない様だ。新京成も望み薄かな‥の予感は的中。ホームに売店はあったが土休日はお休みであった。平日は営業していて、パスネットも売ってるんだろう。とは思ったが平日に出直すつもりはないので、やむをえず予定を変更。上り下りのどっちに乗ればいいのか皆目見当がつかないので、あてずっぽで下り方面に乗ることにした。

それにしても静かな駅だ。自動車の走る音も遠ーくにしか聞こえないし、ホームで電車を待つ客も数える程しかおらず、誰も喋っていない。テレビの旅番組ですごく田舎の駅を訪れた模様を紹介しているような気分になる。


さて新京成線に乗ったはいいものの、どこで下車していいものか‥「閑散とした駅ではどうやらカードを売っていない」という知識が身についたいまの私は、東葉線の時のように気楽に一駅で降りる勇気はない。カードを販売している駅を見極め、ここぞというところで降りなければならない。

もはや念力勝負!と半ばあきらめかけて車内の路線図を見ると、駅名の下に「定」等の謎の文字が書いてある駅があった。どうやら「定」は「定期券発売所がある駅」をさしているようだ。おおこれは便利。定期券を売る駅ならきっとカードも売っている筈だ。という訳で一番近い「定」付きの駅、鎌ヶ谷大仏で下車することにした。


【旅2日目その8:頭だけ見えたら見えたで恐い】

[2001/02/11(日) 新鎌ヶ谷→鎌ヶ谷大仏]
 新鎌ヶ谷 14:52発
  ↓ 新京成線 京成津田沼行
 鎌ヶ谷大仏 14:56着 ¥140
鎌ヶ谷大仏駅

新京成 鎌ヶ谷大仏駅。バスターミナルはあったが大仏が見当たらない。

改札を出てまず、新京成のカードであるSKカードが販売されていることを心底喜ぶ。券売機での購入だったが、大仏柄ではなかった。出てきたのはCGのペンギン。またペンギンだ。こやつの愛称は不明。

鎌ヶ谷大仏駅前は、新鎌ヶ谷に比べたら猛烈に賑やかだった。短時間の間に街並みが急激に変化するので感覚も麻痺だ。ところで、鎌ヶ谷「大仏」という位なんだから大仏があるんだろう‥と駅周辺を見渡してみたが、それらしきものは見当たらない。後でわかったことだが、駅から徒歩2分程のところにあり、大変小さなものらしい。大仏なんだから頭の先くらいは見えそうなものだが、控えめだったようだ。そんな訳で、容易に見つからなさそうだったのですぐ引き返すことにした。どうせなら「鎌ヶ谷大仏には、鎌ヶ谷大仏という大仏があったんどぅわー!!」と木之本亮の真似でもして帰ろうと思ったが願い叶わず。

大仏様は見つからなかったが、大仏整形外科という医者はあるらしい。


大仏整形外科

この旅唯一のVOWネタ、大仏整形外科。鎌ヶ谷大仏駅前にて。

これを見て私は「大仏様の掛かりつけ医だ」と思ったのたが、帰ってから女房にこの写真を見せたら「大仏のような顔に整形する専門の医者なのか」と言っていた。そうかそういう見方もあったか。そうなると「医者の名前が大仏さん」「医者が大仏面」「婦長さんが仏頂面」などとも考えられるぞ。真相はいかに。(地名だ)

それから鎌ヶ谷大仏駅舎内の本屋さんでSaitaを購入。あらためて、ありがとう「むさしのドリーム」。この後、ふたたび新鎌ヶ谷へ引き返した。


[2001/02/11(日) 鎌ヶ谷大仏→新鎌ヶ谷]
 鎌ヶ谷大仏 15:08発
  ↓ 新京成線 松戸行
 新鎌ヶ谷 15:12着 ¥140
Saita 2/22号

Saita 2/22号。鎌ヶ谷大仏駅で購入。


【旅2日目その9:異国の地に故郷を見る】

新鎌ヶ谷に戻り、今度は迷わず連絡口を通って北総・公団線(上り方面)に乗車。このまま押上方面へ乗って新宿方面へいってしまう予定であったが、まだ北総カードを購入していないためこちらも何処かで途中下車しなければならない。北総線車内の路線図には「定」とか書いてなかったので、今度こそ念力勝負だ。で、唯一聞いたことのある「松戸」という文字がついている東松戸駅で下車することに決定。本当は下り方面に乗り、名前がかっこいい「千葉ニュータウン中央」に行ってみたかったのだが、そろそろ時間にも余裕がなくなってきたので帰り道を選んだ。


[2001/02/11(日) 新鎌ヶ谷→東松戸]
 新鎌ヶ谷 15:21発
  ↓ 北総・公団線 羽田空港行(普通)
 東松戸 15:27着 ¥370
東松戸駅その1

北総・公団線 東松戸駅舎。デカい。

パスネットで旅をしていると金銭感覚が麻痺しがちだが、北総ってちょっと運賃が高い。麻痺してても気がついた。まぁなんとか開発というのは高いと相場は決まっていそうだが、横浜市営や都営より高く感じたぞ。羽田空港直通は便利だと思うけどねぇ‥

肝心のカードは東松戸で購入できた。パッスルカードというらしい。ぱ、パッスル(笑)。いや実は、北総もこどもの国線と同じで京成か都営ブランドのものを売ってるんじゃないかと想像していた。しかしキチンと自社ブランドのカードがあり、その名も「パッスルカード」とイカした名前だ。少々お高い運賃だが、予想外におもしろかったのでこれで帳消し。←偉そう


東松戸駅前

東松戸駅前風景。ここも静かだ‥

さて、次の電車まで20分あるので駅前をぶらついて‥またもや何もなさげ。アンド無音。暇なので駅前写真なんかを撮影してみたが、その位ではそうそう時間がつぶせない。仕方がないのでサッサとホームに上がった。

高い位置にあるホームには屋根&エアコン付きの待合室がある。運賃の高い由縁か。確かに吹きさらしだと真冬は寒いかもしれない。しかし今日は然程寒くはなかったので、しばしホームからの景色を見ていた。何もないのは先程より確認済みだが、遠くにポツンポツンと街並みが見えたりする。ここは何駅に似ているということもなく、何もかもがはじめてだ。なのに何故か故郷に帰ってきたような気がした。私の故郷は四方を山で囲まれているところで、こことは似ても似つかない。似ているのは静かなところだけだ。

今住んでいる大和も、勤務先も、いつも何かしらの音がしている。しかし故郷とここ東松戸(と新鎌ヶ谷)は無駄な音がない。そこに故郷を感じたのかもしれない。昨年父が亡くなり、今は一人で暮らしている母の姿を思い出した。


[2001/02/11(日) 東松戸→浅草橋]
 東松戸 15:47発
  ↓ 北総・公団線,京成押上線,都営浅草線(直通) 羽田空港行(普通,押上から特急)
 浅草橋 16:18着 ¥760

【旅2日目その10:新自由クラブ略して新自ク(古)】

てな風な感傷的部分も盛り込み、旅モノらしさを演出したりしてお送りしている「ぶらりパスネットの旅」千葉エリアもついに完了。再び北総線上りに乗り、都内を目指す。

当初の予定では、今回の旅は来週(2/17)行く予定で、それまでに会社帰りに新宿へよって西武線のカードを買い、購入済み扱いにするつもりだった。しかし今日行くことになったので、是非とも今日中に新宿にも行かなければならなくなった。だから新宿へのルートはそれほど煮詰めてはいない。でも浅草橋乗り換えJR総武線で直行で時間的にはベターだったと思う。


都営浅草橋駅

都営浅草橋駅の看板。ここは乗り換えただけの駅だけどなんとなく。

浅草橋では都営線を降車後、東松戸からの料金の確認(高〜)と写真撮影なんかをしつつも、4分でJRに乗り換えた。我ながらすごい。やっぱり都内に帰ってくるとセカセカするもんで。


[2001/02/11(日) 浅草橋→新宿]
 浅草橋 16:22発
  ↓ JR総武線(各停) 三鷹行
 新宿 16:42着 ¥160

新宿に到着してまず、帰りの電車の席をとった。最後に新宿によることになった時から「今回の旅の締めはロマンスカーだ」と豪勢なことを考えていた。特急券だってパスネットで買えるんだもん!と、まるで新しいデジモンの名前(カエルンダモン)を考えたがごとくその贅沢の妥当性を自分に言い聞かせ、18:10発のホームウェイ95号をキープ。


特急券

ホームウェイ95号の特急券。無論パスネットで購入。

1時間以上の余裕ができたので、西武線の切符を買う前に気になっていたことの確認に行く。西口前の「21世紀まで○○日」カウントダウンがどうなっているかだ。


新宿駅西口前

新宿駅西口前。スバルの看板下はただの時計になってしまったようだ。

正月に見に来た時はまさに工事中、今日もまだ「工事中」の看板が出ていたが、これから見られるべき姿はもう現していた。どうやら普通のアナログ時計になったようだ。小5の頃、生まれて初めて東京に独りで遊びに来たのがここ新宿で、その時からあった21世紀へのカウントダウンが、21世紀になっちゃったからといってなくなってしまったのはなんとも寂しい気もする。

そりゃともかく結構いい写真が撮れたなとご満悦で西武新宿駅へ向かう。西武新宿駅といえばPePe。


西武新宿駅

西武新宿駅。意外な角度から撮影してしまった。

西武鉄道のカードは「SFレオカード」という名称であることは知っていた。で、西武新宿駅でレオカードは窓口でのみの販売だった様だ。そんな訳で特急券などを購入する列に並んで買ったのだが、渡されたのは車両写真の地味〜な柄のものだった。地味なのはかまわないんだけど、西武でレオだからねぇ、ここはやっぱり手塚獅子を期待するじゃないですか。しかもわざわざ並んで買ったのに。ブツブツ。

まぁないものは仕方ない、どうしても欲しけりゃ池袋や所沢あたりに行けばあるだろうと思いPePeを後にする。なんだかんだでカード柄にこだわりまくってしまった。やはり集めるとなると欲が出るものである。


さて、本日の目的はこれにて無事コンプリートであるが、帰りの電車までかなり時間がある。しかしよく来る新宿を用もなくぶらつく気力もそろそろ尽きてきた。とりあえずさくらやホビー館へ行って、ビックリマンシールのストッカーを探したりしていた。千葉県内を旅していた先程までは実に旅行気分に満ちていたのだが、あっという間に現実に帰ってきたような心持ちになった。余韻を楽しむ間もなし。ならそんなマニアックな店にマニアックな用事で行くなよ。

ストッカーはなかったし、でもまだ時間はあるし‥そろそろ立って歩き続けるのも真剣に億劫になってきた。しかし新宿駅前のちょっとした店はどこも満席だろうし、運よく席につけたとしてもまわりの若客が騒いでうるさいだろう。こんな時静かに落ち着いて休める憩いの場はあそこしかない。そう、「談話室 滝沢」。


滝沢新宿店

談話室 滝沢新宿店。ついに独りで入れるようになってしまった。

あと「らんぶる」もあるな。とは後で気がついたが、一刻もはやく腰をおろしたかった私は滑り込むように滝沢店内へロンリー・イン。疲れていたとはいえ、ついに滝沢へ独りで入れるようになってしまった。今日からボクも大人の仲間入り。

中では相変わらずアンドロイドのように丁寧な店員のお姉さんが席へとご案内。新宿店名物の池を渡り着席‥‥ああ、やっぱりまわりもタクっぽい人だらけ(苦笑)。同じ穴のむじな。ご用達だよな滝沢って。ここでまた、現実に帰ってきた感をしみじみ味わう。

とはいえさすが滝沢、落ち着いて休憩をとることができた。もっとのんびりしたかったが、そういう時になると時間のたつのがはやく感じられたり。¥1,300もするサンドイッチセット(お飲み物はアイスコーヒー)を食べ終え、ひさしぶりに謝恩券をもらって駅へと向かう。


滝沢謝恩券

ひさびさにもらった謝恩券。有効期限有。


【旅2日目その11:ついに寝ることはなかった道中】

OER7000系

最後に乗った特急ロマンスカー ホームウェイ95号。
席は先頭車両だったが展望席ではなし。小田急新宿駅にて撮影。

[2001/02/11(日) 新宿→大和]
 新宿 18:10発
  ↓ 小田急線特急ロマンスカー ホームウェイ95号 片瀬江ノ島行
 大和 18:52着 ¥440(+特急券 ¥560)

という訳で最後の贅沢ロマンスカーで大和へ直行。しかしいくらパスネットで指定席が買えるとはいえ、ちょっと使いすぎたかな‥と反省するも、隣に座ったのがギャルだったので「我が道の選択に迷いなし」と心を改める。改まってないか。ちなみにギャルといってもちょっと古めだった(失礼)。

東松戸から浅草橋の乗車時間が比較的長かったが、ついに寝ることはなかった。興奮していたのもあるが、まぁこれは乗りなれない線で乗り過ごさない気持ちもあったのだろうと思った。しかし、ついに大和につくまで一度も寝ることはなかった。疲れてはいたのだが‥極限までハイテンションであったことを再確認した。

眠れなかったので、帰りの車中では「この旅を千葉方面からアプローチするとしたらどう行くのが良いか」なんてことを考えていた。私が東葉・新京成・北総を知らなかったのと同様、きっと横浜高速・相鉄・横浜市営なんかは知らないだろう。そのあたりがルート組み立てのキーとなり‥

ゆりかもめ/TWRを済ませて新橋→(JR東海道線)→横浜で市営・相鉄→(横浜市営)→あざみ野で東急→(東急田園都市線)→長津田で横浜高速→(JR横浜線)→橋本→(京王相模原線)→多摩センターで小田急・京王・多摩モノレール→(多摩モノレール)→玉川上水で西武

こんなところでどうか。このプランのポイントは多摩センターで小田急・京王・多摩モノレールの3連コンボが狙えることろだ。ただ最後が玉川上水だと帰りが大変な気もするので、多摩センターから京王で新宿へ向かうほうがいいかもしれない。また、多摩センターのコンボは逃すとしても、新橋から藤沢まで出てしまい、湘南台で小田急・相鉄・横浜市営の3連コンボを決めるというのも爽快ではなかろうか。って、コンボって何だ。


小田急大和駅

そして帰ってきた大和駅(小田急側出口)。
ちなみにどの線に乗る場合でも相鉄側・小田急側のどちらからも出入り可能。


【旅1日目,2日目まとめ】

2日間とも事故もなく、目的である全社パスネット購入は達成できた。揃ったカードを並べて眺めるのは、そりゃもう至福の時である。が、この旅ではそれ以上に「ぶらり旅」が満喫できた。当初組み立てた予定通りにならない箇所が数多くあった。しかし、急きょ変更したルートがかえって良い方向に転んだり、行く予定のない場所で覚えずセンチメンタルな気分になったりと、集めるべきカード以上の収穫があった。これぞぶらり旅の醍醐味なのではなかろうか。

今回「パスネット」というのがきっかけではじめた小旅行、考えて見れば私にとって21世紀最初の旅らしい旅だ。これが大成功に終わったことを素直に喜び、次回(4月予定)へ想いを馳せる。